顕微鏡による治療の特徴・メリット
当院の顕微鏡治療は保険で行っています
顕微鏡(マイクロスコープ)を使った治療では、肉眼では見えないものを3倍から30倍程度にまで拡大することができます。つまり、肉眼では見えないぐらい小さなむし歯の初期段階での治療が出来ますし、暗く狭い根管部分(歯の根の部分、神経が入っている管)も、顕微鏡治療では明るく拡大出来ますので、従来のレントゲンを参考にしながら経験と勘を頼りに施す治療とは大きな差が出ます。残念ながら現在の全国の歯科において、マイクロスコープの普及率は10%程度しかありません。
顕微鏡歯科の治療内容
顕微鏡(マイクロスコープ)を使った、コンポジットレジン修復
コンポジットレジン修復治療とは、昔からある削って詰める治療になります。
この治療で大切なのは、詰める前にむし歯を可能な限り、健康な歯牙を残したまま取りきるということです。暗い口腔内において健康な歯をできるだけ削ることなくむし歯だけを削り取る作業はマイクロスコープなしには難しく、特に神経が露出しそうな深いむし歯の場合は結果に大きな差が出ます。
顕微鏡(マイクロスコープ)を使った根管治療・歯内治療
従来、根管治療歯(歯の神経治療)はレントゲン写真を見ながら歯の内部をイメージしながら手探りでおこなっていました。手探りの治療では感染源が残こってしまい、再治療になる場合が往々にしてあります。根管とは、歯の中の神経(歯髄)が入っている管のことです。根管はとても狭く複雑に入り組んだ形をしていて、感染を取りきることが難しくなっています。
しかし、マイクロスコープで根管内を詳細に観察することが可能になると、感染源の見落としをかなり減らすことができ、細部にまで治療が出来るようになり、治療の成功率は飛躍的に向上します。
また、根管治療では細かい器具を使うため、場合によっては器具が折れて歯の中に残ってしまうことがあります。通常、歯の中に残った器具の除去は不可能で、これまでは器具が折れてしまった場合、歯を抜かなければいけないこともありました。しかし、マイクロスコープで確認しながら折れた器具に超音波振動を与えるといった方法により、破折した器具を除去できるようになり、再治療の道が開かれることが多くなりました。
さらに、難治性症例に対して、根の先端を切る外科手術を行う場合があり、その際にもマイクロスコープは活躍します。歯の根の治療は、顕微鏡が一番活躍する治療となります。すでにアメリカでは1998年に歯の根の治療の専門医は、マイクロスコープを使うことが義務づけられています。
顕微鏡(マイクロスコープ)を使った予防
顕微鏡(マイクロスコープ)を使うのは歯科医師だけではありません。患者さんに歯ブラシの話や歯のクリーニングをする歯科衛生士も使います。
予防の第一歩は、まず患者さんの口の中がいかに汚れているかを見ることから始まります。マイクロスコープに付いているビデオカメラにヘッドマウントディスプレイをつなげると、歯にプラークの付いている状態をリアルタイムに説明できます。歯ブラシの使い方やブラッシングのコツも“実況生中継”で見せることができます。
また、歯のクリーニングの際も細かい汚れを効果的に落とすことが可能になり、その後のホワイトニングの効果も高まります。
顕微鏡(マイクロスコープ)を用いた外科手術について
歯科用マイクロスコープを使用した顕微鏡歯科治療で手術をおこなうことで、拡大鏡視野で非常に小さいメスをもちいて手術が可能です。このマイクロサージェリーはすでに、脳外科や心臓外科など精度を求められる外科手術ではおこなわれています。傷口も髪の毛よりも細い糸で縫合をおこなうことにより術後の痛みや不快感をおさえることができます。
顕微鏡歯科治療の治療期間と費用
一般に、顕微鏡(マイクロスコープ)を使用すると治療時間が長くなる傾向があります。何故なら肉眼による治療では見落とされていたむし歯や被せ物の隙間など小さな病変や不具合が確認できるようになり、よりきめ細かい治療になるからです。逆にいえば「肉眼だけに頼った治療にはいかに不備が多いか」ということです。逆に、今まで原因不明だった症状が、マイクロスコープを使ったことで明らかになり、無駄な時間を使わずに治療が早く終わる場合もあります。
顕微鏡歯科治療の費用は自由診療になり高額になることが多くなりますが、当院では保険治療の範囲内で行っています。
顕微鏡歯科治療で注意すべきこと
こまで書いてきたように、顕微鏡(マイクロスコープ)を用いるメリットは計り知れません。
ただ、「よく見える」ということは「やるべきことが増える」ということでもあり、治療時間は今までの数倍にもなる傾向にあります。また顕微鏡歯科治療の設備は高額で、マイクロスコープ本体はもちろん、特殊な機材も必要です。また「よく見える」ことで、これまで不明だった原因が明らかになることがあります。しかしこれは治療ができる・できないもはっきりするということで、中には残念なお話しをしなくてはならないこともあります。
しかしこのような場合でも「あやふやだったことが明らかになり、次の一歩を踏み出す足掛かりになった」と前向きに考えていただきたいのです。そして二度と同じようなことを繰り返さないように、マイクロスコープを用いた信頼性の高い治療をこれからお受けいただくことをおすすめします。